2022年2月2日
ピアサポートとは?摂食障害に必要なの?
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摂食障害の治療について調べていると「ピアサポート」という言葉を目にするかもしれません。今回は、ピアサポートの役割や使用するメリット・デメリットについてご紹介いたします。
そもそもピアサポートの役割って?
ピアサポートとは、似たような悩みや立場の人が行う支援のことを指します。摂食障害のピアサポートの場合は、摂食障害の当事者や経験者がそれに値します。
ピアサポートは2000年代に米国で精神保健福祉の分野から始まりました。現在は障害者や、がん・難病の患者、産前産後に悩む親、アルコールや薬物中毒、そうした人たちの家族などにも広がっています。最近は学生同士で支えあうピアサポート制度を取り入れる大学も増えてきました。
当事者には周囲の人には言えない悩みというものがあります。支援する・されるという関係では一方的に専門家・支援者が支援するために、本音を出せなかったり自然な人と人との関係性がうまれづらいという課題もありました。ピアサポート活動では「支援する・される」から「支える・支えられる」という関係性をつくることができ、当事者同士で本音を出して体験を語り合う機会になります。だからこそ対等でいられるピアサポートが求められているのです。
NPOニュース(https://nponews.jp/article/peer-support/)
上記にもあるように、ピアサポートは「対等な立場である」「その上で本音を出す」という点が最大の特徴です。支援者には言えなかった本当の気持ちや、近しい立場の人だからこそ話せる悩みを打ち明けられることがピアサポートには求められています。
ピアサポートを使うメリット
対等な立場で悩みを話せる
先程も述べた通り、ピアサポートの最大の強みは「対等な立場で悩みを話せること」にあります。摂食障害の場合、担当の精神科医やカウンセラーが摂食障害を専門としておらず、うまく摂食障害の悩みを話せないという方も少なくありません。
「摂食障害の辛さを知っている人に悩みを相談したい」「その上で共感やアドバイスをしてほしい」
という場合は、ピアサポートの役割が最大限に活かされるかと思います。
気軽で安価
また、臨床心理士や公認心理師が行うカウンセリングに比べて料金が安価であることも多いです。心理カウンセリングでは1時間5,000円〜15,000円という相場ですが、ピアカウンセリングでは無料〜5,000円ほどが相場であると言えます。
予約についても、多くが病院を通して受付を行う心理カウンセリングに比べて、ピアカウンセリングはNPO等の団体や個人が行う場合が多いので、心理的な距離が近く、通院されていない方でも気軽に予約をしやすいと言えるでしょう。
ピアサポートを受けるときの注意点
比較的安価でアクセスしやすいピアサポートですが、その分どのサポートを受けるか検討する際に注意しなければいけないことがいくつかあります。
治療ではなく、治療を行う上で重要な支え
摂食障害の回復は個人差があり、回復エピソードも様々なので、一概に効果を約束できるものではありません。そもそも、ピアサポートのゴールは、摂食障害の治癒ではありません。治療を行う上で重要な支えとなりえますが、治療は医療者の役割です。
効果を約束したサポートは避けるように心がけましょう。
(例)「○○日で摂食障害から脱却プラン」「○○日で過食症が治る!」など
また、解決法を提示するサポートも避けることをおすすめします。1つの方法で症状の緩和を約束できるものではありません。
(例)「○○法で摂食障害が改善」「○○をしたら摂食障害が治る」等
実績や口コミがあるサポートを選ぶ
例えば、企業や団体等のバックアップがあるものを選んだり、メディアへの掲載実績があったり、口コミが書かれているものを選ぶと安心でしょう。口コミの場合、なるべく実名で口コミが投稿されているものや、最新のものが投稿されているか確認することが望ましいです。
また、サポートする人(サポーター)の経歴を確認することも重要です。心理職の資格を有していたり、相談員や福祉職としての経歴があったり、対人援助職として好ましい経歴があることが望ましいです。そもそも経歴を公開しているか、という点も重要なチェックポイントですね。摂食障害とどう関わっているか最低限の情報を確認できる人を選ぶことをおすすめします。
サポーター選びは慎重に
以上が、ピアサポートについての解説になります。
比較的手軽に利用することができ、摂食障害の回復における重要な役割を担うピアサポートですが、どのサポーターにお願いするかは判断が必要になります。(上記の条件を満たしていないサポーターも沢山います)
ご自身の心を守りながら適切な支援を受けるためにも、ピアサポートに対する正しい知識をお届けできたなら幸いです。
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