2021年12月1日
摂食障害の原因って?ダイエットとの関係とは
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色んな情報が飛び交う、摂食障害の原因説。今回は摂食障害の原因を見ていきましょう。
原因は主に3つ。複雑に絡み合って発症するもの
摂食障害の原因は主に3つあるとされています。
1.遺伝素因
2.本人の性格やストレス耐性
3.文化・社会的要因
上記の3つが複雑に絡み合って発症します。よく「ダイエットが原因」「母親の愛情不足が原因」とする情報が見られますが、いずれも摂食障害の原因とは違います。ダイエットはきっかけの一例にすぎず、また家庭環境の問題のみで発症するといった短絡的な病でもありません。
それでは、摂食障害の原因について詳しく見てみましょう。
1.遺伝素因
摂食障害には、遺伝素因を含む生物学的要因が絡んでいます。2019年に出された医学論文では拒食症になりやすい方は、ある8つの遺伝子を持っている傾向にあることがわかっています。また、もともと不安や緊張を感じやすいタイプであることも、最近ではよく示唆されますね。
一方で、肥満や糖尿病にかかりづらい素因を持つことも分かっています。
2.本人の性格やストレス耐性
次に、摂食障害にかかりやすい方の性格特性やそこからくるストレス耐性について見てみます。
遺伝素因の説明にもあったように、不安や緊張を感じやすい一面から真面目な方が非常に多いです。
「一度決めたことはやり通す」
「完璧になしとげたい」
といった、ある種の強迫性や完璧主義が見られる傾向にあります。
また、ストレスに過剰に反応しやすくマイナスな出来事を課題解釈する傾向にもあります。うまくそのストレスを発散できるとよいのですが、摂食障害になりやすい方はコーピングスキル※に乏しい面があり、自身でストレスを抱え込むことが多いです。
摂食障害とコーピングスキルについては、別記事で詳しく説明します。
※コーピングスキル:ストレスを適切に対処する力のこと
3.文化社会的要因
摂食障害は、1980年頃から右肩上がりに患者数が増えています。
その背景には、特に先進国での根強い痩せ称賛文化が影響しています。日本も類にもれずその対象です。昨今、「ボディポジティブ」といった言葉が流通するようにもなりましたが、私たちの実生活では外見(=ルッキズム)に関する偏見があとを絶ちません。
痩せ称賛文化が直接的に影響することもしばしばありますが、何かのストレスや挫折感を抱えたときに「痩せることで自信を取り戻そうとする行為」が摂食障害の引き金になることが多くあります。
痩せ称賛文化を利用しようとダイエットを試みたところ、それがきっかけとなり摂食障害を発症される方は少なくありません。
ダイエットや意思の問題ではない
未だに摂食障害の原因説は誤解や偏見が多く存在しています。
ですが、どうか正しい情報を信じてご自身を責めないでいてほしいです。摂食障害は、ダイエットのせいでも、意思の弱さのせいでもありません。実際には、生物学的要因、社会文化的要因、心理的要因等が複雑に絡み合って、何かの出来事が引き金となって発症する心の病です。
摂食障害は複雑な問題が絡み合って表出した、心のSOSだということが伝わると幸いです。
参考:NHK厚生文化事業団「摂食障害 理解と回復のために」(https://www.npwo.or.jp/video/16600)
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