自己破壊行動が伴う多衝動型過食症とは
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今回は、イギリスのレイシーが提唱した多衝動型過食症について取り上げます。
多衝動型過食症とは?
多衝動型過食症とは、過食症のほかにも様々な自己破壊行動があるものを指します。自己破壊行動とは、良くないことだと分かっているのに不安や混乱、葛藤など不快な感情の迅速な解消手段として用いる自傷行為のことです。過食症の場合、特にアルコール、薬物乱用、過量服薬などと結びつきやすいといいます。
このカテゴリーの当事者の80%は3〜5種類の自己破壊的行動があり、このタイプの当事者の治療は単一の過食症よりも難しいとされています。
情報が飛び交い、物が簡単に手に入りやすくなった現代、このような過食症の当事者は増えていくと推測されています。
多衝動型過食症の心理状態
摂食障害は衝動のコントロールの障害です。これは感情の言語化障害と位置づけられるアレキシサイミアとも言えます。当事者は、情緒不安定かつ不安感が強く衝動性が高まっている状態にあることが多くあります。また、感情や身体感覚への気づきと言語化が困難であることや空想や内省が困難であることも特徴として認められています。
自己破壊的行動は、主にネガティブな刺激に対する処理の低下によって引き起こされています。この対処行動は乳児期に母親を見て身につけたり、直接指示を通したりして身につけるものですが、何かしらの環境要因があり情動コントロールが阻害された状態がアレキシサイミアです。
(なお、アレキシサイミアとは別にADHDのような衝動性を伴う発達障害と関連づけて考えられることもしばしばあります。)
何かしらの環境要因(幼少期の生育環境等)による愛着の課題をもつアレキシサイミアは、衝動性に身を任せた自己破壊的行動で感情を感じないようにしている状態です。これが情動コントロール障害とよばれます。
まとめ
いかがでしたでしょうか。過食症とは一見関係のないような自傷行為でも、その根幹に眠るものには共通点があるようです。
摂食障害は衝動のコントロールの障害とも言えます。食行動以外の行動障害がある場合には、そちらにも目を向けていきたいですね。
参考文献:摂食障害のすべて 高木洲一郎著
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